2つの解とはどういうことか
次の一般解を求めよ。
$$y^{\prime\prime}-4y’+3y=0$$
これの解は、
$$y=e^{3x}$$
がまず1つあります。求め方は別ページに詳しくあります。
$y=e^{3x}\\
y’=3e^{3x}\\
y^{\prime\prime}=9e^{3x}$
を実際に例題の二階線形方程式の左辺に代入すると、解になっていることが分かります。
$$y^{\prime\prime}-4y’+3y=9e^{3x}-4\cdot 3e^{3x}+3\cdot e^{3x}=0$$
また、任意定数$\,C_{1}$倍してもこれは成り立ちます。よって、一般解は
$$y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}$$
となり求まりました、としたいところですが、二回線形微分方程式の一般解はこれだけでは解として認められません。
どうすれば一般解として成立されるのかというと、
「$y\,$の解を互いに独立な解を2つ用意する必要があります。」
なので、例題で言えば、もう1つの解は、
$$y=e^x$$
であり、任意定数$\,C_{2}$倍しても微分方程式であれば成り立つので、
$$y=\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$$
$y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}\quad,\quad y=\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$
↘ ↙
$y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$
一般解は独立な$\,y\,$の解2つを足したものです。2つの独立した解を足したものが一般解でいい理由
例題: $y^{\prime\prime}-4y’+3y=0$
一般解: $y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$
この例題でも、もちろん$\,\textcolor{red}{e^{3x}}\, ,\,\textcolor{blue}{e^x}\,$は互いに独立です。
独立とは
数学の独立と言えば、ベクトルの一次独立があります。
ここに2つのベクトル$\,\vec{v_{1}}=(a,b)\, ,\,\vec{v_{2}}=(c,d)\,$があり、
$$r_{1}(a,b)+r_{2}(c,d)=0$$
を満たす実数が$\,r_{1}=r_{2}=0\,$のみの場合、$\vec{v_{1}},\vec{v_{2}}\,$は一次独立です。
一次独立になる例
$\vec{v_{1}}=(1,1)\, ,\,\vec{v_{2}}=(0,2)\,$において独立になるかを求めます。
$$r_{1}(2,1)+r_{2}(0,2)=0$$
$$2\cdot r_{1}+0\cdot r_{2}=0\\
1\cdot r_{1}+2\cdot r_{2}=0$$
よって、$r_{1}=r_{2}=0\,$になり、一次独立であることが分かる。
一次独立にならない例
$\vec{v_{1}}=(-1,-3)\, ,\,\vec{v_{2}}=(2,6)\,$において独立になるかを求めます。
$$r_{1}(-1,-3)+r_{2}(2,6)=0$$
$$-1\cdot r_{1}+2\cdot r_{2}=0\\
-3\cdot r_{1}+6\cdot r_{2}=0$$
よって、$r_{1}=2\, ,\,r_{2}=1\,$でも上の式は成り立つので一次独立ではなく、一次従属であることが分かる。
二階線形微分方程式の独立
例題: $y^{\prime\prime}-4y’+3y=0$
一般解: $y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$
一般解が、$y=0\,$になるときを考えます。
$$\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}=0$$
$x\,$がどんな数値を取ったとしても、0になり続ける。これを満たす実数$\,C_{1}\, ,\, C_{2}\,$は、$\,C_{1}=C_{2}=0\,$のみになっています。よって、$\,e^{3x}\, ,\,e^x\,$は互いに独立です。
$e^x=e^x$ どちらかがどちらかの定数倍になっていない。
イメージがわきやすい風に言うと、関数として表した時に2本の線がいろいろ調整した時に完全に重ならなければ互いは独立です。
独立の図

実数倍で重なることはない。
独立ではない図

実数倍すると直線の場合は傾きが変わるので回転します。よって、直線同士は重なります。
$x=x$ 2倍($\frac{1}{2}$)の定数倍の関係になっている。
2つの解を足しても解になることの証明
例題: $y^{\prime\prime}-4y’+3y=0$
一般解: $y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$
$y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}\,$を代入すると、
$\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}\left(9-12+3\right)}=0$
$y=\textcolor{blue}{C_{2}e^x}$を代入すると、
$\textcolor{blue}{C_{2}e^{x}\left(1-4+3\right)}=0$
よって、本題に$\,y=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}\,$を代入すると、
$$\array{
&y^{\prime\prime}-4y’+3y\\
&=\textcolor{red}{9C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}-4\left(\textcolor{red}{3C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}\right)+3\left(\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}}+\textcolor{blue}{C_{2}e^x}\right)\\
&=\textcolor{red}{C_{1}e^{3x}\left(9-12+3\right)}+\textcolor{blue}{C_{2}e^{x}\left(1-4+3\right)}\\
&=0
}$$
2つの解を足したものを代入しても二階線形微分方程式を満たすので解になることが分かります。
一般的に考える
$$\textcolor{green}{y=C_{1}e^{λ_{1}x}+C_{2}e^{λ_{2}x}}$$
であっても$\,e^{λ_{1}x}\, ,\,e^{λ_{2}x}\,$が互いが独立であれば「例題」と同じように$\,e^{λ_{1}x}\,$の項と$\,e^{λ_{2}x}\,$の項に分解して考えることができ、お互いの項が0になるので合わせたら0になり、やっぱり
「2つの独立した解を足したものは解になる。」
ことがわかる。
なぜ2つの解が必要なのか
二階線形微分方程式であれば、必ず2つの解が必要です。
$$y^{\prime\prime}=0$$
で考えれば簡単に理解できます。
一般解を求めるために上の式を2回積分します。
$$y^{\prime\prime}=0\\
↓\\
y’=C_{1}\\
↓\\
y=C_{1}x+C_{2}$$
よって、2階導関数を含んだ式では関数$\,y\,$を求めると、$\,C_{1}\, ,\,C_{2}\,$と2つの任意定数が必要になります。
「解が1つだと任意定数も1つになってしまうので2つの任意定数を設定するために独立した2つの解が必要になるわけです。」
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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