このページでは軌跡問題の求め方を説明します。
軌跡は解き方の手順さえ理解できれば、難しいと感じず、簡単に解くことができます。
軌跡問題を大きく2種類に分け、「比がある問題」と「それ以外の問題」として解説しています。
軌跡問題は難しいと思われがちなんですよね。(私は難しいと思ってました。)
学校で軌跡の単元をまとめて習うことはほぼないから
最初、何から手を付ければいいか分からん。
となって解けないことが多い。
比が与えられた軌跡の問題
2点$A(1,0)$と$B(4,2)$の距離の比が$\,2:1\,$になる点$P$の軌跡を求めよ。
手順を説明します。
軌跡の問題を解く3ステップとは?
比を使った「軌跡を求めよ」の問題は以下の3ステップを踏んでやれば必ず解けます。
- 点Pの座標を文字で置いて三平方の定理で距離を求める
- 比の式を立てる
- 計算をして答えを求める
2番、3番は簡単なのですが、1番が少し説明が必要なので、1番のステップを解説します。
まずは、座標平面における2点間の距離を三平方の定理で求めるやり方を確認しましょう。

黄色の部分の長さは、
$$\begin{align}
R²&=(a-c)^2+(b-d)^2\\
R&=\sqrt{(a-c)^2+(b-d)^2}
\end{align}$$
座標平面の2点間の距離は、その2点で作る三角形を作り、縦と横の長さを求め三平方の定理を使って解くことができます。
ただ、縦と横の長さは厳密に“大きい数字-小さい数字”にする必要はありません。
2乗してしまうのでどっちにしろプラスになります。(縦$=d-b\,$や横$=c-a\quad$として計算しても大丈夫です。)
したがって、次は実際にどう三平方の定理を使うのか説明します。
まず、点Pに座標を与えます。
$P(x,\,y)$とします。
別にどんな文字でもいいのですが最終的にxとyに置き換えるので、最初からxとyでいいだろうといった感じです。

そして、Pの位置は比によって決まっているので、上のように図にして書くことができます。
辺APの長さと辺BPの長さを比べると2:1になります。
では、「辺APの長さと辺BPの長さを実際に文字を使って求めることを考える」ときに、三平方の定理を使ってそれぞれの長さを求めます。

辺APの長さ $$\begin{align} AP^2&=(x-1)^2+(y-0)^2\\ AP&=\sqrt{(x-1)^2+y^2} \end{align}$$
辺BPの長さ $$\begin{align} BP^2&=(x-4)^2+(y-2)^2\\ BP&=\sqrt{(x-4)^2+(y-2)^2} \end{align}$$ $(x-4)^2=(4-x)^2\,$は、差を取って2乗しているので同じになります。
【問題Ⅰ】実際に解いて解説
2点$A(1,0)$と$B(4,2)$の距離の比が$\,2:1\,$になる点$P$の軌跡を求めよ。
ステップ1
点$P$の座標を$\,(x,y)$とすると、
$A(1,0)$と$P(x,y)$の距離は、$\sqrt{(x-1)^2+y^2}$
$B(4,2)$と$P(x,y)$の距離は、$\sqrt{(x-4)^2+(y-2)^2}$
となります。
ステップ2
問題文の通りに「$AP間の距離:BP間の距離が2:1になる$」という式を立てます。
$$\sqrt{(x-1)^2+y^2}\,:\,\sqrt{(x-4)^2+(y-2)^2}=2:1$$
比の計算は、内どうし、外どうしをかけ算したらイコールになるので、
$$2\sqrt{(x-4)^2+(y-2)^2}=\sqrt{(x-1)^2+y^2}$$
式ができます。
ステップ3
後は計算をすれば終わりです。まずは2乗します。
$$\begin{align}
4\left\{(x-4)^2+(y-2)^2\right\}&=(x-1)^2+y^2\\
4x^2-32x+64+4y^2-16y+16&=x^2-2x+1+y^2\\
3x^2-30x+63+3y^2-16y+16&=0\\
3(x-5)^2+3(y-\frac{8}{3})^2&=\frac{52}{3}\\
(x-5)^2+(y-\frac{8}{3})^2&=\frac{52}{9}
\end{align}$$
$$(x-5)^2+(y-\frac{8}{3})^2=\frac{52}{9}$$ つまり、点Pの軌跡は、中心$\,(5,\frac{8}{3})\,$で半径$\,\frac{2\sqrt{13}}{3}\,$の円。

※薄い直線は、それがないと目の錯覚かなんかで円が変に見えたので入れています。特に気にしなくて大丈夫です。
比が与えられていない軌跡の問題
$y=x^2+1\,$上に点$Q$が存在し、原点と点$Q$の中点を点$P$とするとき、点$P$の軌跡を求めよ。
こういった問題になります。
前章の比がある問題より難しいです。
比がない軌跡問題は2ステップで解ける!
- 点Pの座標をいい感じに文字で表す
- xとyの文字以外を全て無くす(xとyで置き換える)
ステップ1の”いい感じ”にというのが難しいです。
基本は点$P(x,y)\,$と置くのですが、
さらに、$x=f(t)\,,\quad y=g(t)\,$といった感じにxとyをそれぞれ別の文字で表します。
そして、ステップ2で$\,t\,$を消します。
ステップ2はたまに難しいときもありますが、そこまで難しくないことがほとんどです。
【問題Ⅱ】実際に解いて解説
$y=x^2+1\,$上に点$Q$が存在し、原点と点$Q$の中点を点$P$とするとき、点$P$の軌跡を求めよ。
ステップ1
点$P(x,y)$とします。
xとyが具体的にどんなものなのかは点$Q$から求めます。
点$Q$の$x$座標を$\,t\,$とすると点$Q(t,t^2+1)$となります。
原点と点$Q$の中点は、
$$(\frac{t}{2},\frac{t^2+1}{2})$$
となり、これが点$P$なので、
$$x=\frac{t}{2}\,,\quad y=\frac{t^2+1}{2}$$
と文字で置くことができます。
ステップ2
$t\,$を消して、$x\,$と$\,y\,$だけにします。
$$\begin{align}
x&=\frac{t}{2}\\
t&=2x
\end{align}$$
よって、$y\,$の方に代入します。
$$\begin{align}
y&=\frac{t^2+1}{2}\\
&=\frac{(2x)^2+1}{2}\\
&=2x^2+\frac{1}{2}
\end{align}$$
$$y=2x^2+\frac{1}{2}$$ つまり、点Pの軌跡は、頂点$\,(0,\frac{1}{2})\,$の2次関数。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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