最大値と最小値について
関数$\,f(x)\,$において、最大値、最小値とは、
・$\,f(x) < f(a)\,$が成り立つときは$\,f(a)\,$が最大値
・$\,f(x) > f(a)\,$が成り立つときは$\,f(a)\,$が最小値
下の図は、関数$\,f(x)\,$において定義域が$\,-4<x<4\,$になっていますが、最大値、最小値は端ではなく途中にあります。

上のに対して、下の図は、同じように定義域が$\,-4<x<4\,$になっていて、最大値、最小値は定義域の端っこにあります。

このような関数$\,f(x)\,$の最大値、最小値の求め方を紹介していきます。
最大値、最小値の求め方
関数によって、求め方が変わります。
「二次関数」か「二次関数じゃない」かの2つです。
二次関数の例
・$\,y=x^2+6x+3\,$
・$\,y=(x-1)^2+1\,$
など
二次関数じゃない関数の例
・$\,y=x^4-2x^2-x+4\,$
・$\,y=log\,x\,$
・$\,y=e^x\,$
・$\,y=sin\,x\,$
など
二次関数の場合
二次関数の場合は平方完成を使用して最大値(最小値)を求めます。
平方完成のやり方
関数$\,y=ax^2+bx+c\,$において、平方完成を行う場合、まずは、$\,a\,$でくくって$\,y=a(x^2+\frac{b}{a}x)+c\,$とします。
そして、この後に$\,\frac{b}{a}\,$を$\,\frac{1}{2}\,$にして、$(x+\frac{b}{2a})^2\,$の形にします。そこから、式が変わらないように補完しながら変形します。よって、
$$y=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2+c-\frac{b^2}{4a}$$
となります。
もっと詳しく知りたいなら、こちら。

平方完成を使って最大値、最小値を求める
二次関数は上に凸、もしくは、下に凸になります。凸の形になることで、二次関数は最大値、もしくは、最小値が確定します。
$$y=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2+c-\frac{b^2}{4a}$$
これにおいて、
$a>0\,$ならば下に凸なので$\,c-\frac{b^2}{4a}\,$は最小値になる。
$a<0\,$ならば上に凸なので$\,c-\frac{b^2}{4a}\,$は最大値になる。
また、定義域を絞った場合にのみ最大値と最小値の両方が存在します。
例題(二次関数)
$$y=\frac{1}{2}x^2-x-\frac{1}{2}\quad(0\leqq x\leqq 3)$$
平方完成します。
$$\begin{align}
y&=\frac{1}{2}x^2-x-\frac{1}{2}\\
&=\frac{1}{2}(x^2-2x)-\frac{1}{2}\\
&=\frac{1}{2}\left\{(x-1)^2-1\right\}-\frac{1}{2}\\
&=\frac{1}{2}(x-1)^2-1
\end{align}$$
よって、これを図で考えると、

最大値と最小値の位置が分かるので、その位置での値を考えることで、
最大値の$\,x\,$は$x=1$
最小値の$\,x\,$は$x=3$
よって、関数に代入することで答えを求められます。
最大値 $1\quad (x=3)$
最小値 $-1\quad (x=1)$
二次関数じゃない多くの関数の場合
二次関数じゃない関数の場合は、微分して、増減表を考えます。
増減表を書くことで、複雑な関数でも大体の形が分かり概形を書くことが可能になります。
その概形から最大値と最小値を求めます。例題がないと説明しにくいのでさっそく例題を解きます。
例題(増減表を使う関数)
$$y=x+\frac{1}{x}\quad(\frac{1}{2}\leqq x\leqq 3)$$
関数$\,f(x)=x+\frac{1}{x}\,$を微分することにより、
$$\begin{align}
f'(x)&=1-\frac{1}{x^2}\\
&=\frac{x^2-1}{x^2}\\
&=\frac{(x+1)(x-1)}{x^2}
\end{align}$$
$f'(x)=0\,$となるのは、
$$x=\pm1$$
したがって、$\frac{1}{2}\leqq x\leqq 3\,$の範囲で増減表を書くと、
$\begin{array}
{|c|ccccc|}
\hline x&\frac{1}{2}&\cdots&1&\cdots&3\\
\hline f'(x)& &-&0&+& \\
\hline f(x)&\frac{5}{2}&\searrow&2&\nearrow&\frac{10}{3} \\
\hline
\end{array}$
左側にはその段が何の情報なのかを分かるように$\,x\,,\,f'(x)\,,\,f(x)\,$を置きます。
・$\,x\,$の段には、$\,f'(x)=0\,$になるときの$\,x\,$の値を書きます。それ以外の部分は$\,\cdots\,$で補います。
・$\,f'(x)\,$の段には、$\,f'(x)\,$の値が上の段の$\,x\,$によって、$+\,,\,-\,,\,0\,$のいずれかを書きます。そして、関数の定義域を設定した場合、定義域の端は微分可能ではないので何も書きません。
・$\,f(x)\,$の段には、$\,f'(x)\,$の段によって、$+\cdots\nearrow\,$、$-\cdots\searrow\,$を書き、$0\,$のときと何も書いていないときは$\,x\,$が決まっているので、代入して$\,f(x)\,$の値を書きます。
よって、これを図で考えると、

最大値と最小値が分かります。
最大値 $\frac{10}{3}\quad (x=3)$
最小値 $2\quad (x=1)$
すごく簡単に増減表から書いた図を上に示しましたが実際の関数の形を一応下に示しておきます。

実際には、「二次関数じゃない」関数の最大値(最小値)の求め方で、「二次関数」の最大値(最小値)は求めることが可能ですが、「二次関数」の場合もっと簡単に求める方法(平方完成)があるからそっちで解くというだけです。
練習問題
基本問題
$$y=-x^2+2x+4$$
$$\begin{align} y&=-(x^2-2x)+4\\ &=-(x-1)^2+5 \end{align}$$ 上に凸なので、頂点が最大値になる。ただ、$\displaystyle\lim_{x→\pm ∞}\,(-x^2+2x+4)=-∞\,$なので、最小値はない。
最大値 $5\quad (x=1)$
最小値 なし
$$y=\frac{x^2}{e^{x^2}}$$
$$\begin{align} y’&=\frac{2x\cdot e^{x^2}-x^2\cdot 2xe^{x^2}}{(e^{x^2})^2}\\ &=\frac{2xe^{x^2}(1-x^2)}{(e^{x^2})^2}\\ &=\frac{2xe^{x^2}(1+x)(1-x)}{(e^{x^2})^2}\\ \end{align}$$ $y’=0\,$となるのは、
$$x=0,\pm1$$ ここで、$x→\pm ∞\,$について考えると、
$$\displaystyle\lim_{x→\pm ∞}\,\frac{x^2}{e^{x^2}}=0$$ となります。これに関しては、こちらを見てください。証明しています。

$\begin{array} {|c|ccccccc|} \hline x&\cdots&-1&\cdots&0&\cdots&1&\cdots\\ \hline f'(x)&+&0&-&0&+&0&- \\ \hline f(x)&\nearrow&\frac{1}{e}&\searrow&0&\nearrow&\frac{1}{e}&\searrow \\ \hline \end{array}$
図はこんな感じ

最大値 $\frac{1}{e}\quad (x=\pm 1)$
最小値 $0\quad (x=0)$
応用(図の問題)

点Pが最初は$\,ℓ\,$上に乗って進み、途中で外れると考え、外れる点を$\,T\,$とし、座標を$\,(t\,,\,\sqrt{t})\,$とします。$(t\geqq 0)$
$ℓ\,$上での道のりは、
$$\sqrt{t^2+(\sqrt{3}x)^2}=2t$$ $ℓ\,$上から離れた後の道のりは、
$$\sqrt{t^2+(\sqrt{3}-\sqrt{3}x)^2}=\sqrt{4t^2-6t+3}$$ よって、到着点まで行くのにかかる時間は、
$$\frac{2t}{2}+\frac{\sqrt{4t^2-6t+3}}{1}=t+\sqrt{4t^2-6t+3}$$ ここで、$f(t)=t+\sqrt{4t^2-6t+3}\,$として、$f(t)\,$を微分する。
$$\begin{align} f'(t)&=1+\frac{4t-3}{\sqrt{4t^2-6t+3}}\\\\ &=\frac{\sqrt{4t^2-6t+3}+4t-3}{\sqrt{4t^2-6t+3}} \end{align}$$ $f'(t)=0\,$になるのは、
$$\sqrt{4t^2-6t+3}+4t-3=0$$ となるので、よって、 $$\begin{align} \sqrt{4t^2-6t+3}&=-4t+3\quad\cdots ①\\ 4t^2-6t+3&=(-4t+3)^2\\ 4t^2-6t+3&=16t^2-24t+9\\ 2t^2-3t+1&=0\\ (2t-1)(t-1)&=0\\ t&=\frac{1}{2}\,,\quad 1 \end{align}$$ ここで、$\sqrt{4t^2-6t+3}>0\,$より、①から$\,-4t+3>0\,$となるので、$t=1\,$は解にならず、定義域は$\,0\leqq t\leqq \frac{3}{4}\,$となるので、
$$t=\frac{1}{2}$$ 以上より、増減表は、
$\begin{array} {|c|cccc|} \hline t&0&\cdots&\frac{1}{2}&\cdots\\ \hline f'(t)& &-&0&+ \\ \hline f(t)&\sqrt{3}&\searrow&\frac{3}{2}&\nearrow \\ \hline \end{array}$
よって、
最小値 $\large{\frac{3}{2}}$
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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