この記事では、広義積分の解き方について解説します。
大学、早ければ高校生の数3で勉強する内容です。
解けるようになるには、たった1つ“普通の定積分とどう違うのか”を理解するのが重要になります。
広義積分とは
広義積分を解くには、広義積分がどんなものか理解するする必要があります。
というか、広義積分って何?ってことが分かれば、問題は余裕で解けるようになります。
そして、考えるのが、
“広義積分”と呼ばれるものと、”普通の定積分”は何が違うかということです。
さっそく結論を言うと、
普通の定積分は閉じられた面積を求めるのに使いましたが、広義積分は閉じられていない面積を求めます。
求めようとする面積が、閉じられているか、閉じられていないかの違いです。
閉じられていない面積とは、下図の左側のような感じです。

どこまで行っても図形として閉じられはしないが、収束していっています。
このような面積の求め方は、収束などという言葉が使ったことからも分かると思いますが極限を使って解きます。
解き方の詳しい説明は後でするとして、一応先に言っておくこととしては、
広義積分には2種類存在します。
- 無限区間における広義積分
- 有限区間における広義積分
それぞれについて先に説明します。
解き方だけ知りたい方は飛ばしてくれて構いません。
無限区間における広義積分

普通の定積分の基本の形は、
$$\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx$$
なのに対して、無限区間における広義積分は、無限という通り
$$\displaystyle \int_{a}^{\color{red}{∞}}f(x)dx$$
グラフが収束する無限までの面積を求めることを言います。
上の画像のグラフは、$f(x)=e^{-x}\,$になっていて、赤い部分の面積は、
$$\color{red}{\displaystyle \int_{0}^{∞}e^{-x}dx}$$
で求めます。(1つ目の例題で説明)
有限区間における広義積分

無限区間では$\,∞\,$を使いましたが、$\,∞\,$を使わない広義積分もあります。
$f(x)=log\,x\,$は、$x=0\,$にはなりません。
よって、0から1までの区間で広義積分になっています。
このように、無限ではない定数から定数までの区間があり、広義積分になっているものを有限区間における広義積分と言います。
上の画像のグラフは、$f(x)=log\,x\,$になっていて、赤い部分の面積は、
$$\color{red}{\displaystyle \int_{0}^{1}log\,x\,dx}$$
で求めます。(2つ目の例題で説明)
広義積分の解き方
例題を使って説明します。
2つの例題がありますが、1つの例題だけで解き方自体は理解できると思います。
2つある理由としては、「無限区間における広義積分」なのか「有限区間における広義積分」なのかの違いだけです。
1つ目の例題
問題
次の広義積分を求めよ。
$$\displaystyle \int_{0}^{∞}e^{-x}dx$$

グラフの形は、無限区間における広義積分の説明で出したものと同じになります。
最初にやることは、$∞\,$となっているのを文字で置き換えます。
$$\displaystyle \int_{0}^{∞}e^{-x}dx=\displaystyle \int_{0}^{a}e^{-x}dx$$
※計算すると、文字で置き換える必要ないんじゃないのと思うかもしれませんが、まあ計算上のルールってやつです。
文字に置き換えたら、その状態で普通に定積分をします。
$$\begin{align}
\displaystyle \int_{0}^{a}e^{-x}dx&=\left[-e^{-x}\right]_{0}^{a}\\[7px]
&=-e^{-a}+1
\end{align}$$
ここからが重要で、極限を使って$\,a\,$を無限大まで飛ばします。
$$\displaystyle\lim_{a→∞}(-e^{-a}+1)=1$$
よって、
$$\begin{align}
&\quad\displaystyle \int_{0}^{∞}e^{-x}dx\\[7px]
&=\displaystyle\lim_{a→∞}\displaystyle \int_{0}^{a}e^{-x}dx\\[7px]
&=\color{red}{\underline{\,1\,}_{//}\cdots【答】}
\end{align}$$
無限大までの面積を計算すると面積が$\,1\,$に近づいていくことを表しています。
【おまけ】2つ目の例題
問題
次の広義積分を求めよ。
$$\displaystyle \int_{0}^{1}log\,x\,dx$$

グラフの形は、有限区間における広義積分の説明で出したものと同じになります。
解く際に、1つ目の例題と違うのは一か所だけで、極限で飛ばすのが無限大ではないというだけです。
極限で定数に近づけます。(この問題の場合は、0に近づけます。)
では、解いていきます。
文字で置き換えます。
$$\displaystyle \int_{0}^{1}log\,x\,dx=\displaystyle \int_{a}^{1}log\,x\,dx$$
文字で置き換えたら普通に定積分をします。
$$\begin{align}
\displaystyle \int_{a}^{1}log\,x\,dx&=\left[x\,log\,x-x\right]_{a}^{1}\\[7px]
&=-1-a\,log\,a+a
\end{align}$$
※部分積分法を使っています。
ここで、$a=\frac{1}{x}\,$とおくと、$a→+0\,$のとき$\,x→∞\,$より、
$$\begin{align}
&\quad\displaystyle\lim_{a→+0}\,a\,log\,a\\[7px]
&=\displaystyle\lim_{x→∞}\frac{log\,\frac{1}{x}}{x}\\[7px]
&=-\displaystyle\lim_{x→∞}\frac{log\,x}{x}\\[7px]
&=0
\end{align}$$
※$\displaystyle\lim_{x→∞}\frac{log\,x}{x}=0\,$が成り立ちます。教科書に公式として載っています。
したがって、
$$\displaystyle\lim_{a→+0}(-1-a\,log\,a+a)=-1$$
よって、
$$\begin{align}
&\quad\displaystyle \int_{0}^{1}log\,x\,dx\\[7px]
&=\displaystyle\lim_{a→+0}\displaystyle \int_{a}^{1}log\,x\,dx\\[7px]
&=\color{red}{\underline{\,-1\,}_{//}\cdots【答】}
\end{align}$$
※実際には面積を求めているわけではないのでマイナスの答えになることもあります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
