逆関数とは
よく見る関数の形だと$\,y=f(x)\,$と表されます。これに対して逆関数とは、$x\,$と$\,y\,$が逆になり、
$$x=f(y)$$
となる関数のことです。逆関数を表す方法は他にもあります。
$$y=f^{-1}(x)$$
のように、${}^{-1}\,$をした形も逆関数を表し、$x=f(y)\,$と同じ関数になります。
$\textcolor{red}{\cdot\quad x=y^2+y}$
$\textcolor{red}{\cdot\quad x=(y^2+y)(y^3-6)}$
条件:定義域
どんな関数でも逆関数になるわけではありません。逆関数にすることができるために条件は、「xとyが1対1対応」になっていることです。
例えば、$y=x^2\,$は、逆関数にすることはできません。なぜなら、xとyが1対1対応になっていないからです。($y=4\,$のとき、$x=2\,$と$\,x=-2\,$の2つ存在しています。)
なので、もし$y=x^2\,$など1対1対応になっていない関数を逆関数にするなら条件(定義域)を設定する必要があります。
$\,x\geqq 0\,$とする。

こうすることで、1対1対応にすることができ、逆関数$\,x=y^2\,$にすることができます。
逆関数の微分の解き方
$\large{\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}}$
$\frac{dx}{dy}\,$は、$x=\,$になっている関数を$\,y\,$で微分することを表しています。
それを、分母に持ってくることで、
$$\textcolor{red}{\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{dy}{dx}}$$
となります。
と言う風に考えると覚えやすいです。
例題
$$x=y+2\sqrt{y}$$
$x=y+2\sqrt{y}\,$の微分の答え$\,\frac{dy}{dx}\,$を求めるのにまずは、$\frac{dx}{dy}\,$を求めます。
$x=y+2\sqrt{y}\,$を$\,y\,$で微分することで、
$$\frac{dx}{dy}=1+\frac{1}{\sqrt{y}}$$
よって、公式に当てはめて解くと
$$\begin{align}
\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\
&=\frac{1}{1+\frac{1}{\sqrt{y}}}\\
&=\frac{1}{\frac{\sqrt{y}+1}{\sqrt{y}}}\\
&=\frac{\sqrt{y}}{\sqrt{y}+1}
\end{align}$$
三角関数の逆関数
三角関数の逆関数は、
$$\textcolor{red}{\begin{align}
&\cdot y=sin^{-1}x\quad(x=sin\,y)\\
&\cdot y=cos^{-1}x\quad(x=cos\,y)\\
&\cdot y=tan^{-1}x\quad(x=tan\,y)
\end{align}}$$
逆関数$\,y=sin^{-1}x\,$の微分の解き方
$$x=sin\,y$$
ちなみに、条件(定義域)は、$-1\leqq x\leqq 1\,$です。($-\frac{π}{2}\leqq y\leqq \frac{π}{2}$)
逆関数$\,x=sin\,y\,$より、このときの$x\,,\,y\,$を図に表すと、下のようになります。

この図を忘れないようにしておいてください。この状態で、$sin\,$の逆関数の微分を解きます。逆関数の微分の基本は、
$$\textcolor{red}{\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{dy}{dx}}$$
この公式なので、$\frac{dx}{dy}\,$を求めます(簡単です)。
$x=sin\,y\,$より、
$$\frac{dx}{dy}=cos\,y$$
よって、
$$\begin{align}
\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\
&=\frac{1}{cos\,y}
\end{align}$$
ここで、$cos\,y\,$を図を見ながら考えます。$cos\,y\,$を求めるために、上の図で長さが書かれていない部分を三平方の定理を使って求めます。

よって、微分の答えは、
$$\frac{dy}{dx}=\frac{1}{cos\,y}=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}$$
逆関数$\,y=cos^{-1}x\,$の微分の解き方
$$x=cos\,y$$
ちなみに、条件(定義域)は、$-1\leqq x\leqq 1\,$です。($0\leqq y\leqq π$)
解き方は、$sin\,$のときと同じような感じです。まずは、図。

$x=cos\,y\,$より、
$$\frac{dx}{dy}=-sin\,y$$
よって、
$$\begin{align}
\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\
&=\frac{1}{-sin\,y}\\
&=-\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}
\end{align}$$
逆関数$\,y=tan^{-1}x\,$の微分の解き方
$$x=tan\,y$$
ちなみに、条件(定義域)は、$-∞< x< ∞\,$です。($-\frac{π}{2}< y< \frac{π}{2}$)
解き方は、$sin\,$のときと同じような感じです。まずは、図。

$x=tan\,y\,$より、
$$\frac{dx}{dy}=\frac{1}{cos^2y}$$
よって、
$$\begin{align}
\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\
&=\frac{1}{\frac{1}{cos^2y}}\\
&=cos^2y\\
&=\frac{1}{1+x^2}
\end{align}$$
練習問題
$$x=y^2+y$$
よって、
$$\begin{align}\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\ &=\frac{1}{2y+1}\end{align}$$
$$x=(y^2+y)(y^3-6)$$
$$\begin{align}\frac{dx}{dy}&=(2y+1)(y^3-6)+(y^2+y)\cdot 3y^2\\&=2y^4+y^3-12y-6+3y^4+3y^3\\&=5y^4+4y^3-12y-6\end{align}$$
よって、
$$\begin{align}\frac{dy}{dx}&=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\ &=\frac{1}{5y^4+4y^3-12y-6}\end{align}$$
まとめ
$$\large{\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}}$$
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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