eに関する極限の解き方(問題付き)|x/e^x,x^n/e^xの証明

数学
(1)$\,log\,e=1$

(2)証明においては、はさみうちの原理と数学的帰納法

極限とeにおける問題は基本難しい

改めて言うことではありませんが、$\,e\,$が関係する極限の問題は、難しいです。

難しくなる理由としては、ものすごく覚えにくい公式が2つあるのに、それらをふんだんに使用して解かなくてはいけない点です。

どんな問題になるかを示しておきます。

$\begin{align} &\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→0}\,(1-3x)^{\frac{1}{x}}\\\\ &\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{log\,x}\\\\ &\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{x}{log\,(1+6x)}\\\\ &\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→+0}\,(-x\,log\,x) \end{align}$

極限値の解き方

まず、先ほど言った使用する公式2つです。

$\begin{align} &(1)\quad e=\displaystyle\lim_{x→0}\,(1+x)^{\frac{1}{x}}\\ &(2)\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0\quad(nは自然数) \end{align}$

上の公式は、$\,e\,$の定義となる式です。そのため、証明などは存在しません。

そして、下の式は証明が難しいし、実際数式だけ見ていても実感がわきにくいです。

「定義」と「実感がわかない式」を覚えるのは苦行ですが、逆を言えば、この2つの式さえ覚えれば、あとは問題の式を工夫をして解くことが可能になります。

他にも上の2つから導くいくつかの公式があります。(上の2つを知っていれば自分で求めることができるので、絶対に覚えなければいけないものではありません。)

$\scriptsize{(1)}\,$の公式で、$x=\frac{1}{t}\,$とすると、$x→0\,$のとき、$t→∞\,$より、
$\cdot\quad e=\displaystyle\lim_{t→∞}\,(1+\frac{1}{t})^{t}$

$\scriptsize{(2)}\,$の公式で、$n=1\,$とすると、
$\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{e^x}=0$

$\scriptsize{(2)}\,$の公式で、分母分子を逆転すると、
$\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{e^x}{x^n}=∞$

また、$\,\scriptsize{(2)}\,$の公式で、分子が$\,e^x\,$となっていますが、別に$\,e\,$でなくても、
$\cdot\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{1.1^x}=0$
1以上であれば、なんでも公式が成立します。

例題

次の極限値を求めよ。($\,e=\displaystyle\lim_{x→0}\,(1+x)^{\frac{1}{x}}\,$を使用していいとします。)
$$\displaystyle\lim_{x→0}\,(1-3x)^{\frac{1}{x}}$$

$\displaystyle\lim_{x→0}\,(1-3x)^{\frac{1}{x}}\,$この問題の式にそのまま公式を当てはめることはできないので、式変形が重要になってきます。

$t=-3x\,$とすると、$x→0\,$のとき、$t→0\,$より、

$$\begin{align}
\displaystyle\lim_{x→0}\,(1-3x)^{\frac{1}{x}}&=\displaystyle\lim_{t→0}\,(1+t)^{-\frac{3}{t}}\\
&=\displaystyle\lim_{t→0}\,\left\{(1+t)^{\frac{1}{t}}\right\}^{-3}\\
&=e^{-3}
\end{align}$$

$$\displaystyle\lim_{x→0}\,(1-3x)^{\frac{1}{x}}=e^{-3}$$

例題2

次の極限を調べよ。($\,\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0\quad$($n$は自然数)を使用していいとします。)
$$\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{log\,x}$$

$\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{log\,x}\,$この問題の式にそのまま公式を当てはめることはできないので、式変形が重要になってきます。

$t=log\,x\,$とすると、$x=e^t\,$となる。
$x→∞\,$のとき、$t→∞\,$より、

$$\begin{align}
\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{log\,x}&=\displaystyle\lim_{t→∞}\,\frac{e^t}{t}\\
&=\displaystyle\lim_{t→∞}\,\frac{1}{\left(\frac{t}{e^t}\right)}\\
&=∞
\end{align}$$

ここで使用しているのは、$\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0\,$の公式において、$n=1\,$の場合です。
$$\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{log\,x}=∞$$

証明$\quad\left[\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0\right]$

主に使うのは、はさみうちの原理と数学的帰納法です。

まずは、
$\quad e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}\quad(x>0)$
が成り立つことを考えます。そして、これが成り立つことが確認出来たら、それを利用して、
$\quad \displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0$
が成り立つことを証明します。

はじめに

まずは、$e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}\,$の証明

$f(x)=e^x-\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}\,$とおいたとき、$f(x)>0\,$となれば、証明できたことになります。

証明するのに数学的帰納法を使用します。


[1]:$n=1\,$のときを考える

$\quad f(x)=e^x-(1+x)$

となります。このとき、これを微分して、

$\quad f'(x)=e^x-1$

$x>0\,$のとき、$e^x>1\,$となるので、$f'(x)>0\,$となります。よって、$f(x)\,$は単調増加になります。また、

$\quad f(0)=e^0-(1+0)=0$

なので、$f'(x)>0\,$と$f(x)=0\,$より、$f(x)>0\,$となります。つまり、

$\textcolor{red}{\quad e^x-(1+x)>0}$

が成り立ちます。

[2]:$n=k\,$のときに、成り立つと仮定して、$n=k+1\,$のときを考える

$n=k\,$のとき、

$\quad e^x-\left(1+x+\frac{x^2}{2}+\cdots +\frac{x^k}{k!}\right)>0$

が成り立つと仮定します。次に、$n=k+1\,$について考えます。

$\quad f(x)=e^x-\left(1+x+\frac{x^2}{2}+\cdots +\frac{x^k}{k!}+\frac{x^{k+1}}{(k+1)!}\right)$

とすると、微分したら、

$\quad f'(x)=e^x-\left(1+x+\frac{x^2}{2}+\cdots +\frac{x^k}{k!}\right)>0$

となるので、$f(x)\,$は単調増加になります。また、

$\quad f(0)=e^0-\left(1+0+\frac{0^2}{2}+\cdots +\frac{0^k}{k!}\right)=0$

なので、

$f'(x)>0\,$と$\,f(x)=0\,$より、$f(x)>0\,$となります。つまり、

$\textcolor{red}{\quad e^x-\left(1+x+\frac{x^2}{2}+\cdots +\frac{x^k}{k!}+\frac{x^{k+1}}{(k+1)!}\right)>0}$

が成り立ちます。


[1][2]から数学的帰納法より、すべての自然数$\,n\,$について、

$\quad e^x-\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}>0$

が成り立つことが確認できたので、つまり、

$\quad\textcolor{red}{e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}}$

が成り立つことが証明できました。

最終的に

$e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}\,$を証明することができたので、これを利用して、$\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0$を証明します。

すべての自然数$\,n\,$において、はじめに証明した式が成り立つので、もちろん、

$\quad e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n+1}\frac{x^k}{k!}$

も成り立ちます。よって、

$\quad e^x>\displaystyle\sum_{k=0}^{n+1}\frac{x^k}{k!}>\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}$

となるので、

$\quad e^x>\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}$

が成り立ちます。よって、

$\begin{align}
\quad\frac{e^x}{x^n}&>\frac{\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}}{x^n}\\\\
\quad\frac{x^n}{e^x}&<\frac{(n+1)!}{x}
\end{align}$

また、$0<x^n\,,\quad 0<e^x\,$より、

$\quad 0<\frac{x^n}{e^x}<\frac{(n+1)!}{x}$

右辺の極限は、$(n+1)!=$定数$\,\,$なので、

$\quad\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{(n+1)!}{x}=0$

となるので、はさみうちの原理より、

$\quad\textcolor{red}{\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x^n}{e^x}=0}$

となります。

ちなみに、$e^x>1+x+\frac{x^2}{2}\,$が成り立つ。という証明をしたうえで、

$\quad e^x>1+x+\frac{x^2}{2}>\frac{x^2}{2}$

となるので、

$\begin{align} \quad e^x&>\frac{x^2}{2}\\\\ \frac{e^x}{x}&>\frac{x}{2}\\\\ 0<\frac{x}{e^x}&<\frac{2}{x}\\\\ \end{align}$

右辺の極限は、

$\quad\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{2}{x}=0$

となるので、はさみうちの原理より、

$\quad\textcolor{red}{\displaystyle\lim_{x→∞}\,\frac{x}{e^x}=0}$

となります。

練習問題

次の極限値を求めよ。
$$\displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{x}{log\,(1+6x)}$$
$$\begin{align} \displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{x}{log\,(1+6x)}&=\displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{1}{\frac{6}{6x}\,log\,(1+6x)}\\ &=\displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{1}{6\,log\,(1+6x)^{\frac{1}{6x}}} \end{align}$$ ここで、$t=6x\,$とすると、$x→0\,$のとき、$t→0\,$と、公式(1)を使うことで、
$$\begin{align} \displaystyle\lim_{x→0}\,(1+6x)^{\frac{1}{6x}}&=\displaystyle\lim_{t→0}\,(1+t)^{\frac{1}{t}}\\ &=e \end{align}$$ となるので、よって、
$$\begin{align} \displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{1}{6\,log\,(1+6x)^{\frac{1}{6x}}}&=\displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{1}{6\,log\,e}\\ &=\frac{1}{6} \end{align}$$
$$\displaystyle\lim_{x→0}\,\frac{x}{log\,(1+6x)}=\frac{1}{6}$$
   
次の極限値を求めよ。
$$\displaystyle\lim_{x→+0}\,(-x\,log\,x)$$
$log\,x=-t\,$とすると、$x=e^{-t}\,$となり、また、$x→+0\,$のとき、$t→∞\,$より、 (公式(2)を使用しています。) $$\begin{align} \displaystyle\lim_{x→+0}\,(-x\,log\,x)&=\displaystyle\lim_{t→∞}\,\left\{-e^{-t}(-t)\right\}\\ &=\displaystyle\lim_{t→∞}\,\frac{t}{e^t}\\ &=0 \end{align}$$
$$\displaystyle\lim_{x→+0}\,(-x\,log\,x)=0$$
   

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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