この記事では、複素数の絶対値が絡む問題の解き方を解説します。
複素数の絶対値において重要なことは1点だけで、
複素数の絶対値の2乗の公式を理解できていれば、多くの問題は解けるようになります。
複素数の絶対値の2乗
試験問題で使用する場合、複素数の絶対値ではなく、「複素数の絶対値の2乗」として利用することが多いです。
なので、そのよく使う複素数の絶対値の2乗の公式から紹介します。
複素数の絶対値の2乗の公式は以下の通りです。
複素数の絶対値の2乗
$$\LARGE{\left|z\right|^{2}=z\overline{z}}$$
複素数の絶対値の2乗は$\large{z\cdot\overline{z}}$になります。
ここで、$\large{z}$はただの複素数のことであり、$\large{\overline{z}}$は共役な複素数のことを示します。
共役な複素数とは、ただの複素数の虚部($i$がついた部分)を(-1)倍したものです。
つまり、$\large{z}$の虚部を(-1)倍すると、$\large{\overline{z}}$になります。
例:
$\large{z}$ $=1+2i$ に対して $\large{\overline{z}}$ $=1-2i$
$\large{z}$ $=\sqrt{2}-i$ に対して $\large{\overline{z}}$ $=\sqrt{2}+i$
なぜ$\large{z\cdot\overline{z}}$が複素数の絶対値の2乗になるのかですが、
これは複素数平面で考えると分かります。

図の複素数$z$の絶対値$\left|z\right|$は点までの距離にあたるので、
三平方の定理より、$\left|z\right|=\sqrt{a^{2}+b^{2}}$ となり、
これの2乗は $\large{\left|z\right|^{2}=\color{red}{a^{2}+b^{2}}}$ になります。
そして、$\large{z}$ $=a+bi$なら、$\large{\overline{z}}$ $=a-bi$になるので、
$$\begin{align}
\large{z\cdot\overline{z}}&\normalsize{=(a+bi)(a-bi)}\\
&\normalsize{=a^{2}-(bi)^{2}}\\
&\normalsize{=\color{red}{a^{2}+b^{2}}}
\end{align}$$
つまり、三平方の定理を使って求めた$a^{2}+b^{2}$と同じになったので$\large{z\cdot\overline{z}=\left|z\right|^{2}}$となります。
もちろん $\large{\sqrt{z\cdot\overline{z}}}=\left|z\right|$ となりますが、複素数においてルートが入ると使いにくくなるので、2乗の形でよく使われます。
例題:複素数の絶対値を使う問題
問題
複素数$\large{z}$が $\large{\left|z\right|^{2}}$ $=2$ を満たすとき、
$\large{z}$ $+$ $\large{\overline{z}}$ $+1=0$ となる$\large{z}$の値を求めよ。
$\left|z\right|=2$より、$\left|z\right|^{2}=z\overline{z}=4$
また、$z\neq 0$ だから、$\overline{z}=\large{\frac{4}{z}}$
$z+\overline{z}+1=0$ に代入すると、$z+\large{\frac{4}{z}}\normalsize{+1=0}$ より、
$z^{2}+z+4=0$
これを解いて、
$\begin{align}z&=\frac{-1\pm\sqrt{1^{2}-4\cdot 1\cdot 4}}{2}\\
&=\frac{-1\pm\sqrt{15}\,i}{2}\end{align}$
解答
$$z=\frac{-1\pm\sqrt{15}\,i}{2}$$
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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